歴史がどう展開するかは、最終的には、やってみるまでわからない。政策判断は、合理的な推論とリスク評価をもとにして、行っていくしかない。

だが日本でスマホでSNSをやりながら「ウクライナ人は必ず最後に一人になるまで戦い続ける!」と怒鳴ってみることが持つ倫理的な意味についても、考えなければならない。

「悪いのはプーチン、次にトランプ、ただそれだけ、結果が出なければ、ただこの二人を責め立て続ける、ただそれだけ」、という態度は、政策決定者なら、なかなかとれない。

すでに「これで戦争継続しかないことがわかった!」と高揚して主張している方々も多々見られる。しかしメジンスキー氏の役割は、3年ぶりに再会された交渉の冒頭でロシアの主張を強く出すことなので、後日プーチン大統領が裁決を出す機会があるとすれば、それが譲歩するときだ。冷静さを失わず、交渉を続けていく姿勢は、むしろ大切だろう。

国際情勢分析を『The Letter』を通じてニュースレター形式で配信しています。

「篠田英朗国際情勢分析チャンネル」(ニコニコチャンネルプラス)で、月2回の頻度で、国際情勢の分析を行っています。