ただ言えることは今の経済状況が今後1年、維持されるという前提に立つなら先々、アメリカの政策金利は今より1.0-1.5%ほど下がるであろうことは予想できると思います。ただ、パウエル氏も来年まで利下げしないとは言っておらず、現時点では今年2回、うち1回は9月ないし10月でもう1度は12月ぐらいが想定されています。

これは専門家の意見の集計であり、来週のFOMCで利下げする可能性がゼロというわけでもありません。以前から意見しているように個人的には予防的利下げを6月にした方が良いと思いますが、それはあくまでもFOMCで政策決定者集団が決める問題であり、果敢に考えるのか、慎重になるかの違いだとも言えます。経済政策に実験ができないという前提に立てば何が正解かはわからないとも言えます。

トランプ氏は不動産を生業とするビジネスマンです。この部分は実は私と同じなのですが、不動産事業を営む者にとって金利はほかの業種の方が思う以上に宿敵の存在なのであります。トランプ氏が金利に敏感なのはその上げ下げで事業の行方が明白に変わってくるからです。当然ながら金利は低い方が良いと考えます。

では今後2年ぐらいは金利水準が低下歩調となると考えた場合、世の中のビジネスの絵図はどうなるか、ここを早読みすることがマネーのセンスにつながるとも言えます。一番わかりやすいのは金(ゴールド)でドル建てのこの価格はアメリカの金利が下がり、ドルインデックスが弱まれば金の価格は反比例して上昇します。

既に1オンス4,000㌦の声が出始めている理由の一つは昨今の世界の中央銀行の肉食的な金現物の購入量に対して採掘が追い付かなくなっている環境下でドル安がそれを後押しするシナリオです。同様なのが多くの商品価格、資源価格です。ドル建ては高くなるのですが、相対相場である他国通貨の価値が上がるので他国で見れば現実的な価格差はさほど生じないとも言えます。また不動産売買への影響も大きく、すそ野が広い建築業への前向きな影響もある一方、トランプ氏が外国人排斥をしているのが大きなマイナス要因となります。