2番目の実験では、ディスプレイに映し出されたアニメのシーソーからボールが転がっていく様子を見せました。

そしてアニメのボールは画面端まで移動して消え、まるで現実世界の箱の中に落ちたかのように見せたのです。

ここでチームは幼児に、「ボールはどこにある?」と尋ねました。

その結果、幼児は現実の箱ではなく、画面の中を指差したのです。

つまり幼児は、「アニメのボールが現実世界の箱に入るとは考えなかった」のです。

この結論を補強するために、3番目の実験が行われました。

全てがアニメで表現される
全てがアニメで表現される / Credit:Barbu Revencu(CEU)_For 19-Month-Olds, What Happens On-Screen Stays On-Screen(2021)

今度は画面の中にアニメの箱を登場させ、その中にボールが落ちるようにしたのです。

すると幼児は、ボールが落ちた方のアニメの箱を正しく指すことができました。

つまり幼児たちは画面内のボールが「アニメの中だけの存在」だと正しく理解しており、現実世界のボールとは区別して考えられていたのです。

さて最後の実験では、ディスプレイの物理的な移動がアニメに対する認識にどう影響するのか調査されました。

乳児は「アニメが現実世界の干渉を受けない」と理解している

4番目の実験では、これまでとは異なり、2つのディスプレイが並べられました。

(上)クマが出入りする家, (下)ウサギが出入りする家
(上)クマが出入りする家, (下)ウサギが出入りする家 / Credit:Barbu Revencu(CEU)_For 19-Month-Olds, What Happens On-Screen Stays On-Screen(2021)

片方の画面には、クマが家に入ったり出たりするアニメが映し出されました。

もう一方では、ウサギが同じようにしています。

2つ画面で家の描写は全く同じですが、それぞれ背景が大きく異なっています。

そして幼児がそれぞれの動物がどちらの画面に映っているか覚えたことを確認した後、2つのディスプレイの位置を物理的に移動させました