アニメは子供から大人まで楽しめますが、現実とは区別しなければいけません。

ほとんどの人は、アニメの主人公や出来事は「画面の中だけのもの」だと知っています。

では私たちは、いつからアニメと現実を区別できていたのでしょうか?

ハンガリー・中央ヨーロッパ大学(CEU)認知科学部に所属するバルブ・レーベンク氏ら研究チームは、生後19カ月の幼児が画面に映されたアニメーションと現実の違いを区別できると発表しました。

研究の詳細は、2021年9月10日付の科学誌『Open Mind』に掲載されています。

目次

  • 幼児はアニメと現実を区別できるの?
  • 幼児は「アニメの出来事と現実の出来事は別物」だと知っている
  • 乳児は「アニメが現実世界の干渉を受けない」と理解している

幼児はアニメと現実を区別できるの?

心の成長過程を研究する発達心理学では、実験の中で幼児に簡単なアニメーションを見せることがよくあります。

幼児たちはアニメーションに対してしっかりと反応するので、内容を理解できていると言えます。

しかし、ここで1つの疑問が生じます。

それは、「幼児はアニメの出来事を現実と区別できているのか?」というものです。

この点を調査するため、研究チームは、生後19カ月の幼児に対して複数の実験を行いました。

現実世界で幼児はボールが入った箱を正しく答えられる
現実世界で幼児はボールが入った箱を正しく答えられる / Credit:Barbu Revencu(CEU)_For 19-Month-Olds, What Happens On-Screen Stays On-Screen(2021)

1番目の実験では、現実世界で木製のシーソーからボールが2つの箱のうち片方に落ちる様子を見せました。

この時幼児は、ボールの軌道を正確に追えていました。

つまり実験に参加した幼児には、ボールがどこに落ちたか判断する能力がある、と言えます。

そしてチームは続く実験によって、幼児の「区別する力」を見極めようとしました。

幼児は「アニメの出来事と現実の出来事は別物」だと知っている

アニメのシーソーとボール。箱は現実
アニメのシーソーとボール。箱は現実 / Credit:Barbu Revencu(CEU)_For 19-Month-Olds, What Happens On-Screen Stays On-Screen(2021)