実際にこの現象を確認するには、ペタワット級(1ペタワット=1千兆ワット)の超高出力レーザーを複数同時に真空中で交差させる必要があり、技術的ハードルが非常に高かったのです。
しかし近年になってようやく、英国(Vulcan 20-20)や欧州(ELI)」、中国(SEL)、アメリカ(OPAL)において次世代の超大型レーザー計画が動き始めており、世界各地でこの光子-光子散乱を初めて実験的に確認しようという試みが計画されています。
特にアメリカのOPALでは、この現象の検出が最優先の旗艦実験テーマの一つに選ばれているほどです。
こうした背景の中、オックスフォード大学の研究チームは、実験に先立ちシミュレーションによって「真空から光が生まれる」現象の詳細を可視化し、理論と実験の架け橋となる知見を提供することを目指しました。
果たして量子電磁力学が予言してきた「光が無から現れる」現象は確認できたのでしょうか?
3本レーザーが“無”を照らすと真空が発光した
