超富裕層は旅先でも「いつものレベルの生活」を求めています。彼らにとっては、日本の超高級ホテルといえども「パッケージ仕様のお仕着せサービス」なわけです。

ちなみに『海外の超富裕層』とは、純金融資産が3000万ドル(45億円)以上の個人のこと。UHNWI(Ultra High Net Worth Individual)と呼ばれます。彼らは世界全体で60万人。最多は米国で18万人。日本にも1万5000人います。

うなるほどお金がある彼らは、景気に左右されずにお金を使うのですが、日本にはそんな彼らが泊まれるホテルがないので、彼らは日本を素通りして超富裕層向けホテルがある観光地に行ってました。

2019年頃、私はホテル支配人向けにマーケティング・ワークショップ研修を行いました。この時、私は日本国内で最高料金のホテルを調べてみました。

調べた範囲で最高料金は、『ザ・リッツ・カールトン東京』のザ・リッツ・カールトン・スィート。300平米、10人掛けダイニングルーム付で、一泊242万円でした。超豪華ですが、ホテル棟の一角にあります。

つまりこれでも超富裕層が宿泊するにはギリギリ許容できる最低限レベル。

2019年当時でも、日本では超富裕層が泊まれる超高級ホテルが圧倒的に不足していたわけです。

ではなぜ今になって、一泊数百万円のホテルが増えているのでしょうか?

日本の訪日外国人旅行者は、この15年でコロナ禍を挟んで着実に増えてきました。

2011年 622万人 2012年 836万人 2013年 1,036万人 2014年 1,341万人 2015年 1,974万人 2016年 2,404万人 2017年 2,869万人 2018年 3,119万人 2019年 3,188万人 2020年 412万人 ←コロナ禍 2021年 25万人 ←コロナ禍 2022年 383万人 ←コロナ禍 2023年 2,507万人 2024年 3,687万人