⻄武プリンスホテルズ&リゾーツ、サービス導入の背景
̶̶訪日外国人の医療ニーズに着⽬したきっかけは?
「コロナ禍明け以降、外国⼈旅⾏者の急増とともに、以前から訪⽇外国⼈に⼈気のあった地域だけでなく、地⽅の隠れた魅⼒にも注⽬が集まるようになり、インバウンド対応が求められるようになりました。⽐較的⻑く旅⾏する傾向にある海外ゲストにとって⽇本滞在中の不安要素となるのは「⾔葉の壁」と「急な体調不良」と捉え、本サービスの導⼊によって不安要素を取り除き、訪⽇外国⼈が安⼼して泊まれるホテルをめざしたいと考え、導⼊を決定しました」(藤⽥⽒)
̶̶「HOTEL de DOCTOR 24」導⼊の決め⼿は何でしたか?
「最⼤の決め⼿は、24時間対応と22⾔語での医療通訳という、インバウンド対応における壁を⼀気に乗り越えられる点でした。この2つを満たすサービスは他になく、訪⽇客の安⼼感を⽀えるサービスとしてのポテンシャルを感じました。
さらに現場からの声も⼤きく、各施設のスタッフから「うちでも導⼊したい」と⾃発的な声が多数上がったことにも後押しされました。特に評価されたのは、ホテルのオペレーションに⼤きな負荷をかけずに運⽤できる点と、導⼊費⽤や固定費がほぼゼロであることです。HOTEL de DOCTOR 24のサービスと当社のニーズが合致し、全国54施設への導⼊がスムーズに進みました」(同)
̶̶どのような課題意識が背景にあったのでしょうか?
「発熱や腹痛、頭痛といった体調不良の申し出は、訪⽇外国⼈のお客様との接点の中で⽇常的 に起こるものです。お客さまにとって『⾔葉が通じない』『病院の場所がわからない』という不安が重なることを考えると、対応には留意が必要です。
特に夜間や早朝は、すぐに案内できる医療機関が限られており、ホスピタリティの観点から何かできないかという想いがある⼀⽅で、⼗分に意思疎通ができないことで、お客さまをさらに不安な気持ちにさせてしまったり、対応の遅れにつながったりすることに懸念がありました。
HOTEL de DOCTOR 24には、そうした現場のジレンマを解消するツールとしての役割も期待していました。スタッフが⾃信を持って案内できるようになることで、ホテル全体としてのホスピタリティレベルも確実に⾼まると感じています」(同)
̶̶実際に導⼊してみての初期反応はいかがですか?
「導⼊直後から、⼀般のお客さまのみならず、ツアーガイドや旅⾏代理店の⽅々からも反響をいただいています。⾔語や時間帯の問題に悩まされていた宿泊業界にとって、現場で勧めやすい医療⽀援が整ったことは⼤きな安⼼材料になっているようです。
現場のホテルスタッフからも『お客さまに提案できるサービスの幅が広がった』『どんどん活⽤していきたい』といった期待を寄せる声が届いており、業務負担の⼼理的軽減という⾯でも⼿応えを感じています。
利⽤件数としてはまだ限定的ですが、今後、旅⾏の繁忙期や国際的なイベント時などにはより活⽤が進むことが想定されます」(同)
̶̶コストやオペレーション⾯での負担はどうでしたか?
「このサービスで注⽬したのは、ホテル側に導⼊ハードルがほとんどないところでした。導⼊時も、パネルの設置やスタッフによるQRコードの案内だけで済むため、⾮常にスムーズだと感じました」(同)
̶̶今後の展望を教えてください。
「当社では現在、『⽇本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン』という⻑期ビジョンを掲げており、2035年までに世界250施設体制を⽬指す戦略を進めています。単に施設数を増やすのではなく、グローバル基準での標準化と、⽇本をオリジンとした当社ならではの差別化の両⽴を重視し、安⼼・安全かつ魅⼒的な『体験価値』の創造により滞在の質を⾼めていくことが重要だと考えています。『プリンスならどこに⾏っても安⼼して泊まれる』というブランド価値こそが、グローバル展開の要。その象徴として、このサービスの活⽤をさらに広げていく⽅針です」(同)