新たな大会を運営するには、遠征費、人件費など様々なコストが発生する。持続可能な運営体制を構築できるか、スポンサー獲得を含めた収益モデルを確立できるかがカギとなる。実際、資金的に余裕があると思われる参加クラブが多い現実がこの問題を示唆しており、Jリーグ側は参加しなかったクラブに対して、「なぜ参加しなかったのか」をヒアリングし、善後策に生かすべきだろう。

また、U-21リーグの誕生によって、Jユースカップや各地域リーグ、全国の大学リーグ戦など、既存の育成年代の大会やリーグとの関係性を明確にし、より効果的な育成システムを構築する必要があるのではないか。U-21リーグが他の育成カテゴリーの目標となるような位置づけになれば、相乗効果も期待できる。


懸念点は過密日程とコンディション管理

あえて懸念点を挙げるならば、過密日程と選手のコンディション管理面の不安だ。トップチームの試合に帯同しながらU-21リーグにも参加する場合、選手の疲労によってケガのリスクが高まることが考えられる。実戦経験の増加を目指して生まれたリーグ戦のせいで、過労によるケガ人が出てしまっては本末転倒だろう。

また、育成に対する考え方や投資できるリソースは、クラブによって異なることも考慮しなければならない。この格差が大会における競争力に影響を与える可能性もあるからだ。あくまでもU-21リーグの第一義は「育成」にあるのだが、勝利至上主義に偏りすぎたり、逆に緊張感のない試合が増えたりすると、本来の目的が見失われる恐れがある。

多くの有望な選手が実戦経験を積み切磋琢磨することで、個々の成長はもちろん、日本サッカー全体のレベルアップに繋がるという期待を秘めている「U-21 Jリーグ」。一方で、成功のためには上述のような乗り越えるべきハードルも存在する。主催するJリーグ、参加する11クラブ、指導者、選手が同じ方向を向き、この新たな試みを成功に導かなければならないだろう。