一方、2013シーズンから採用されている移籍ウインドーを問わない「育成型期限付き移籍」では、一定の効果が得られている。特にFC東京から育成型期限付き移籍し、ファジアーノ岡山でプレーしているMF佐藤龍之介は、岡山初としてだけではなく「育成型期限付き移籍中の選手」として初めて日本代表に選出され、欧州クラブからも熱視線が送られているという。

しかし、彼のような大成功例は稀で、移籍先でもレギュラーポジションを奪うことが出来ず、いたずらに時間ばかりが過ぎていくケースがあることも事実。育成型期限付き移籍制度は、同カテゴリーか下部カテゴリーに限られている。よってJ2かJ3のチームがこの制度を使って補強を試みたものの、成績次第では昇格も降格もある状況で、試合勘に乏しい若手選手を試す余裕などない現実が浮き彫りとなっている。

日本代表 写真:Getty Images

U-21リーグ最大のメリットは?

U-21リーグに参戦するクラブは、有望選手の獲得や育成ノウハウに長けたクラブばかりで、数多くの若手選手を抱えている。ネット中継があり、有観客の有料試合で開催される方向で、オーバーエイジ(OA)枠も設定されたことで、モチベーションも変わってくることが期待できる。

最大のメリットは、トップチームで出場機会に恵まれない若手選手に対し、実戦経験を継続的に提供できる点だ。現在のJリーグでは、特に強豪クラブにおいて若手がトップチームの試合に絡むのは容易ではない。同世代のトップレベルの選手たちが真剣勝負を繰り広げることで、技術面や戦術理解度、さらには精神的なタフさが磨かれるだろう。これは将来的にトップチームで活躍するため、あるいは海外移籍を目指す上でも不可欠な要素だ。

また、これまで埋もれていた才能が、この大会を通じて他クラブの監督やスカウトの目に留まる機会が増えることも期待できる。同大会に参加していない他クラブが有望な選手を発掘する場としても活用する可能性もある。さらに、ユースから昇格させた選手を計画的に育成し、トップチームへスムーズに馴染ませるための“中継地点”として機能させるだろう。その結果、クラブの育成哲学をより深く浸透させることが可能となる。