「100年安心」っていうフレーズ、覚えてますか?
2004年に政府が年金改革をしたときに掲げたキャッチコピーです。
その時分からでしたら、私も独身時代から結婚した今になって、「食べ物にお金を使わなくなった」「着るものにお金を使わなくなった」「エポスカードみたいなクレジットカードだってもう10年は使っていない」という生活の変化がありましたので、経済感覚の移り変わりがよく分かります。
外では何でもないふりをしていても、スーパーで値札を見つめて立ち尽くす自分が、ふと「誰のために頑張っているのだろう」と思ってしまうことがあります。欲しいものではなく、「買えるもの」しか見ない毎日。季節が変わっても、服を選ぶ楽しさもなくなりました。
昔は、月に一度くらいはカフェでひとり時間を楽しんでいたのに、いまではそのワンコインさえ「余計な出費」と感じるようになってしまいました。収入を得る手段をひとつしか持っていないことの怖さが、今後ますます響いてくることでしょう。
家族からも親類からも、よい話は聞こえてきません。どこを見渡してみても「これからの不安」ばかりです。食卓の話題も、楽しいことより「どうやって節約するか」の話ばかり。笑う余裕も、ちょっとしたケンカをする元気さえも減ってきたように思います。
稼ぎを家に入れないといけない、私たちみたいな立場の者がいちばん肩身が狭いです。「子どもに何かあったとき、助けられるだろうか」と思うたび、漠然とした不安が体の奥からじわじわ広がります。未来を考えること自体が、怖くなってきました。
今の若い世代にとって、年金制度って“安心”どころか、むしろ「また制度変わったの?」「払う金額ばっかり増えて、将来もらえるのは減らされるかも…」っていう不安の象徴になっています。正直、安心とは真逆の存在です。
今回の年金法改正も、まさにそんな「信頼できない制度」を象徴するようなものでした。自民党・公明党・立憲民主党の三党が、国民にほとんど説明しないまま、密室で合意して、わずか4日で衆議院を通過させてしまった。