興味深いことに、患者自身が「この方法は自分で痛みをコントロールできる感じがする」と高く評価していた点も明らかになりました。

脳は、痛みそのものを作り出す中枢でもあり、その働きをうまく調整することで、痛みの感じ方も変えることができるというのは、現代神経科学の重要な知見です。

今回の研究は、EEGフィードバックによってこの「脳の自己調整力」を鍛えることが可能であることを示す貴重な事例となりました。

とはいえ、この方法がすべての患者に有効というわけではありません。

しかも今回の被験者数は4名と少なく、1名には目立った効果が見られませんでした。

また、視覚的な変化に対する反応には個人差が大きく、一人ひとりの脳波パターンに応じた「パーソナライズ化」が今後の課題となります。

それでも、「薬に頼らず、自宅でゲームを楽しむだけで、自分の脳と向き合って慢性的な痛みを軽減できる」という可能性は、神経障害性疼痛で苦しんでいる人にとって大きな希望となります。

もしかすると将来、「痛みの治療=脳トレゲーム」という時代がやってくるかもしれませんね。

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参考文献

Drug-free pain relief game progresses to the next level in clinical trial
https://newatlas.com/chronic-pain/drug-free-pain-relief-game/

Brain training game offers new hope for drug-free pain management
https://www.unsw.edu.au/newsroom/news/2025/06/brain-training-game-offers-new-hope-for-pain-management

元論文

The effect of an EEG neurofeedback intervention for corneal neuropathic pain: A single-case experimental design with multiple baselines
https://doi.org/10.1016/j.jpain.2025.105394