実験には健康な被験者103人が参加し、「ある数列の最後の1桁を当てる」という数学の問題に挑戦してもらいました。

この問題は、提示されたルールに沿って計算すれば解答できるようになっていますが、実は「隠しルール」も存在します。

もし参加者が自分で隠しルールを見つけられるなら、解答までの時間が大幅に短縮されるようになっているのです。

つまりこの実験では、隠しルールを見つけられるかどうかで、参加者の創造性(つまり斬新な戦略)が試されます

そして参加者には、最初に問題を解いた後に20分の休憩が与えられ、その後再び問題を解きました。

大切なのは、休憩中に皆がダリやエジソンのようにカップを手に持ったまま目を閉じ、カップが落ちた音で起きるよう指示されたという点です。

この時、参加者の脳波が計測され、N1と創造性の関連性が調査されました。

深い睡眠に入った瞬間に起きると創造性が向上する

ノンレム睡眠の初期段階で目を覚ますと創造性が向上
ノンレム睡眠の初期段階で目を覚ますと創造性が向上 / Credit:Depositphotos

実験の結果、24人が休憩中にN1睡眠を少なくとも1回は経験しました。

別の14人はN1を通過してより深い睡眠段階に突入してしまったようです。

また残りの参加者はそもそも眠ることができませんでした。

そしてこれら睡眠段階の違いは、試験の結果にも大きく影響しました。

N1で目を覚ました人の83%が隠しルールを発見できたのです。

対照的に眠れなかった人の発見率は31%、またN2に進んでしまった人の発見率は14%でした。

隠しルールの発見率を3倍にまで上昇させるには、すぐに目を覚ますことが条件だったのです。

眠らなくても、深く眠りすぎても効果はありません。

これにより研究チームは、「N1を数十秒味わった段階で目を覚ますという睡眠法には、創造性を高める効果がある」と結論付けました。

作業の前にカップをもって仮眠してみよう
作業の前にカップをもって仮眠してみよう / Credit:Depositphotos