美術の巨匠であるサルバドール・ダリや発明王トーマス・エジソンには共通点があります。

どちらも創造性を発揮するために特殊な睡眠法を行っていたのです。

フランス・パリ脳研究所(ICM)に所属するデルフィン・オウディエッテ氏ら研究チームは、ダリやエジソンが使った睡眠法の効果を実証しました。

深い睡眠に入った段階ですぐに目を覚ますと、創造性が高まっていたのです。

研究の詳細は、2021年12月8日付の科学誌『Science Advances』に掲載されました。

目次

  • ダリやエジソンが使った創造性を高める睡眠法
  • 作業前にカップを手に持って仮眠すると結果が大きく変わる?
  • 深い睡眠に入った瞬間に起きると創造性が向上する

ダリやエジソンが使った創造性を高める睡眠法

(左)サルバドール・ダリ, (右)トーマス・エジソン
(左)サルバドール・ダリ, (右)トーマス・エジソン / Credit:(左)Van Vechten Carl(Wikipedia)_サルバドール・ダリ, (右)Louis Bachrach(Wikipedia)_トーマス・エジソン

ダリやエジソンは、自分たちの仕事を始める前に短くて特殊な睡眠法をとっていました。

スプーンやボールを手に持って眠りにつき、それらが床に落ちて音を立てたときに目を覚ます、というものです。

これにより深い睡眠の初期段階で目を覚まして、ある種の覚醒状態で仕事に取り組むことができました。

この睡眠の初期段階とは、ノンレム睡眠の3つの段階(N1、N2、N3)の最初の段階だと言われています。

人の睡眠は浅い眠りであるレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返します。

そしてこの睡眠法とは、「ノンレム睡眠のN1に入った段階で強制的に起きる」というものなのです。

オウディエッテ氏によると、「人間は一晩の睡眠のうち約5%をN1で過ごしているが、この睡眠段階はあまり研究されてこなかった」とのこと。

そのため研究チームは今回、「N1睡眠が与える効果」を調査することにしました。

作業前にカップを手に持って仮眠すると結果が大きく変わる?

特殊な睡眠法で数列問題に潜む隠しルールの発見率は向上するのか?
特殊な睡眠法で数列問題に潜む隠しルールの発見率は向上するのか? / Credit:Delphine Oudiette(ICM)_Sleep onset is a creative sweet spot(2021)