私たちがグループホームを作ったのも一つには訪問介護では介護効率が上がらないからです。グループホームなら介護士1人で3人ぐらい介護できるのですがこれはビジネス上の効率化という観点ではなく不足する人材に対応する措置なのです。

いわゆるベービーブーマーの方々は70台後半に差し掛かり、これから5年ぐらいのうちに介護を必要とする方がぐっと増えます。日本の健康寿命は男性72.6歳、女性75.5歳です。健康寿命とは心身ともに健康で自立した生活ができる人を指します。割と低いなという印象があります。

一方、寿命を表す統計は平均、中央値、最頻値の3つがあります。(中央値はデータを並べた時の真ん中、最頻値はデータの中で最も多い値です。)最頻値で見ると男性は88歳、女性93歳と出ます。健康寿命と寿命の最頻値の差で見ると男性15年、女性17年もあるのです。その間、何らかのテイクケアが必要になる可能性が高くなるということです。更にご夫婦で考えた場合、男女の差は単純で5年の差がありますが、昔は男性の方が女性より数歳年上のケースが多かったので実質7-10年程度は女性のおひとり様ライフが待っている公算があると読み取ることもできるのです。更に言えば、困ったことに認知症になるケースは女性の方が多いのです。(ひとくくりにできませんが、80歳代前半で2割の差があります。)

もっと言いましょうか?一人っ子世代が今後主流になり、親の面倒を見られない人も当然出てくるのです。その時、介護士が不足していればご本人もご家族も生活すべてのリズム狂ってしまうのです。その手の本は何冊も読みましたが、実録話を読めば泣けてくるようなケースばかりです。

私は配管工より介護士と申し上げます。社会を支えられなくなるのです。そしてロボット介護士とかAI技術と言いますが、それは施設の一部の作業に留まるのです。実態はほとんどが人間と人間同士のふれあいです。