以上の検討から、もはや「おひとりさまの老後」を勧めるわけにはいかない時代になったと思われる。

■

注1）ついでに書き留めておけば、これらの新聞エッセイは藤原正彦『古風堂々数学者』（新潮社、2003）と猿谷要『アメリカの風』（実業之日本社、2002）にそれぞれ再録されている。

注2）国連のSDGｓの17目標のうち半数程度は「環境」関連なので、広義では「環境史観」に含めてよいと考える。

注3）連載第4回目（4月27日）の『都市高齢社会と地域福祉』の「縁、運、根」でもこの点を強調した。

注4）「結婚からの逃走」（flight from marriage）や「家族からの逃走」（flight from family）の用語は、エバースタット論文（2024）に依拠している。

【参照文献】

Eberstadt,N.,2024, “The Age of Depopulation Surviving a World Gone Gray” Foreign　Affairs Report No.12 Published on October 10, 2024. Fontana,L.,2020, The Path to Longevity: The Secrets to Living a Long, Happy, Healthy Life, Hardie Grant Books.(=2022 寺田新訳『科学的エビデンスにもとづく100歳まで健康に生きるための25のメソッド』東京大学出版会). 金子勇,2000,『社会学的創造力』ミネルヴァ書房. 金子勇,2003,『都市の少子社会』東京大学出版会. 金子勇,2013,『「時代診断」の社会学』ミネルヴァ書房. Marx,K.,1859=1951,Zur Kritik der politischen Ökonomie,　erstes Hett, Volksausgabe Dietz Verlag, Berlin.（＝1956 武田隆夫ほか訳『経済学批判』　岩波書店） . 森嶋通夫,1999,『なぜ日本は没落するか』岩波書店． 高田保馬,1925＝2003,『階級及第三史観』（新版）ミネルヴァ書房. 海野道郎,2021,『社会的ジレンマ』ミネルヴァ書房. Weber,M.,1922,Soziologisch Grundbegriffe.Tübingen,J.C.B.Mohr.（＝1972 清水幾太郎訳『社会学の根本概念』岩波書店）.