「連結営業利10%成長」という高いハードルを越える成長戦略とは

 最後に、U-NEXT HD全般における、今後の成長戦略を西本氏に聞いた。

「当社は年間で連結営業利益の成長率10%を目標としています。既存の4セグメントに関しては事業のモメンタムは比較的順調で、成長路線に乗っていると認識しています。ただ、全体でみると利益の絶対額が増えてきているので、既存4セグメントのオーガニックな(自然な)成長だけで今後も10%成長を継続していくには、ハードルが年々高くなってきつつあることも同時に認識しています。この部分を突破するためには、M&Aを活用して非連続的な成長を実現する段階に来ていると考えています。

 今後2~3年のスパンで言うと、米国のトランプ大統領が相互関税なりドル安誘導なりの発言を多くしていることによって、為替が円高基調になっていますよね。これは当社の業績に対して、ポジティブに働くと考えています。当社はほぼ国内ビジネス専業になっているので、収入はほとんど円建てです。その一方で、コンテンツ調達の一部はドル建てになっており、この部分に円高が効くと業績にはプラスです。日本経済にとっては円安が望ましい部分も多くあるとは思いますが、当社の業績に限って言えば追い風になるという点は、広くご承知いただきたいと思っています」

 動画配信という成長分野において、同業との差別化を幾重にも重ねることと、店舗運営の伴走者という古くからの役割を幾重にも拡張し、商機を絞り込んで効率的に得点を重ねていくこと。このような全方位的な戦略の周到さこそが、U-NEXT HD全体を貫く勝利の方程式なのだろう。

(文=日野秀規/フリーライター)