これ以下というと「無音」のように思われるかもしれませんが、実はそうではありません。

ただ人間の耳で聞こえないだけで、0デシベルより小さくても音は鳴っています。

そしてこれはデシベルという値の計算上の都合ですが、0.00002Pa(パスカル)より小さい音圧に対してはマイナスデシベルで表現されます。

そのため、私たちにとってマイナス24.9デシベルとは、究極の沈黙の世界なのです。

こうしてオーフィールド研究所は「地球上で最も静かな場所」としてギネス世界記録に認定されました(Guinness World Records)。

これと同様の無響室は、アメリカのマイクロソフト本社にもあり、ここではマイナス20.35デシベルが記録されています。

(ちなみにマイクロソフトの無響室は主に、マイクやヘッドホンなどの音響機器やキーボードやマウスなどのコンピューター機器から出る雑音を検査するために使われます)

では、無響室では音がどのように聞こえるのでしょうか?

無響室では1時間もいると発狂する

私たちがいる場所では普通、どんなに静かな場所でも様々な音があちこちで反響しています。

スマホの着信音、外を走る車の音、遠くで響くサイレンの音など、私たちの耳は音の反響のおかげで、それらがどの方向のどれくらいの距離で鳴っているかを聞き分けられます。

ところが無響室では音の反響がないため、室内で発生する音はすべて耳に直接届くように聞こえるのです。

例えば、誰かが室内のどこで声を上げても、自分のすぐ耳元で鳴っているように聞こえるといいます。

そして、もし室内で何の音も出さずにジッとしていると、自らの心臓の音や血液の流れる音、骨のきしむ音が聞こえてきます。

無教室内にいるオーフィールド研究所の代表のスティーブン・J・オーフィールド氏
無教室内にいるオーフィールド研究所の代表のスティーブン・J・オーフィールド氏 / Credit: Transcendental Media – The Quietest Place on Earth: Orfield Laboratories(youtube, 2015)