それだけでなく、具体的な評価として「教育を受けた人がこんな書き方しかできないのでしょうか。とても大学生が書いた文章とは思えません。この人には大学でしっかり勉強してほしいです」と辛辣なコメントを付します。
つまり、この評価は学生たちをイラッとさせるためのヤラセなのです。
実際にその後に怒り得点を測定すると、どの学生も怒りの感情が大幅に高まっていました。
「ゴミ箱にポイッ」で怒りが消えた!
怒りの下準備は整ったので、ここからが本番です。
続いて学生たちには先輩からの評価とコメントを読んだ後に、どう感じ、なぜそう思ったかをなるべく客観視して紙に書いてもらいました。
そして学生の半数には紙を裏返して机に置いてもらい、もう半数には紙を丸めてゴミ箱にポイッと投げ捨ててもらいます。
その結果、紙を裏返して置いたグループに比べて、ゴミ箱に捨てたグループでは、怒り得点が安静時の状態まで大幅に下がっていたのです。
さらに別の方法として、紙を透明の箱に入れて保持する条件とシュレッダーにかけて裁断する条件も試しました。
すると、シュレッダーで裁断した条件で同じように怒り得点が安静時のレベルまで低下していたのです。

研究主任の川合 伸幸 (かわい・のぶゆき)氏は「怒りをある程度抑えられることが期待していましたが、怒りがほぼ完全に解消されていたことには驚きました」と話します。
このアプローチにより、例えば職場で怒りを感じたときにメモを取るようにして怒りを書き出し、後でくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てることで気持ちをリセットするのに役立つと期待できます。
川合氏は「思いを重ねたものが壊れることで、その思いも消えていくのでしょう」と指摘しました。
家庭や職場でモメごとを起こさないためにも、この方法を活用してみるといいかもしれません。