相手からの返信がない場合でも、送信記録が残ることで、後々の証拠となります。
電話での重要な会話についても同様です。電話を切った直後に、話した内容をメールで相手に送り、認識の相違がないか確認します。この一手間が、将来の大きなトラブルを防ぐことになります。また、可能であれば重要な電話は録音することも検討しましょう。ただし、録音する際は必ず相手の了承を得ることが必要です。
さらに、段階的な承認プロセスを確立することも重要です。どんなに急ぎの案件であっても、見積書、発注書、契約書という正式な手順を省略してはいけません。「信頼関係があるから」「長年の付き合いだから」という理由で手続きを簡略化することは、かえって信頼関係を損なう結果につながりかねません。
最近では、Web会議システムの録画機能やCRMシステムなど、記録を残すためのツールも充実しています。これらを積極的に活用し、商談内容を即座に記録する体制を整えることが大切です。重要な商談には複数名で参加し、認識を共有することも有効な対策です。一人の記憶や解釈に頼らず、複数の視点で確認することで、認識のズレを防ぐことができます。
トラブル発生時の対処法
万が一「言った言わない」の状況に陥った場合、まず重要なのは感情的にならないことです。怒りや焦りは判断を誤らせ、状況を悪化させる原因となります。冷静に関連するメール、資料、メモをすべて収集し、時系列で経緯を整理して客観的な事実を把握しましょう。
問題が発生したら、早期に上司や法務部門に相談することが大切です。一人で抱え込んで対応を遅らせると、問題が複雑化し、解決が困難になることがあります。組織として対応することで、より適切な判断と対処が可能になります。必要に応じて、弁護士などの専門家に相談することも検討しましょう。
相手方との交渉においては、建設的な解決策を提案することを心がけます。相手を追い詰めたり、全面的な勝利を求めたりするのではなく、双方にとって受け入れ可能な妥協点を探ることが重要です。今後の取引関係も考慮し、現実的な解決を目指しましょう。時には、多少の損失を受け入れてでも、早期解決を図ることが最善の選択となることもあります。