「最近、心の余裕がないな…」
もしそう感じているなら、それは“遊び不足”かもしれません。
カナダ、トレント大学(Trent University)に所属する教育行動学者のロビン・ハンリー・ダフォー氏は、現代の大人がいかに「遊び」を置き去りにし、その結果として創造性や幸福感を失っているか警告しています。
本記事では、大人の「遊び」が脳と社会をどう変えるのか、そして人生に遊びを取り入れることがいかに大きな意味を持つのか、そして大人になった今、遊びをどのように取り入れることができるか解説します。
目次
- 大人にも「遊び」が必要な理由とは?
- 大人のための「遊び」の処方箋
大人にも「遊び」が必要な理由とは?

思い返してみてください。子どものころ、あなたはどんな遊びに夢中でしたか?
鬼ごっこ、秘密基地、友達とのサッカー。
そこには「何のためにやっているか」という目的意識はなく、ただ楽しいという感覚だけが存在していました。
ところが、大人になるとその感覚は次第に失われていきます。
これは、単なる「忙しさ」の問題ではありません。
社会は私たちに、「生産性」や「効率性」を強要し、自由で創造的な時間を「無駄」と感じさせる仕組みを作ってきたからです。
そんな社会で生活している私たちは、「趣味よりも副業」「息抜きよりも自己研鑽」「遊びよりも育児や介護」を重視するかもしれません。
このような価値観の中で、「遊ぶこと」は後回しにされ、ついには忘れ去られるのです。
しかし、これは人間本来の姿とは言えません。

Guitardらの研究(2005年)でも、成人における遊びはストレスを軽減し、創造性、想像力、問題解決能力を高め、幸福感と健康を促進することが示唆されています。
さらに、Magnuson & Barnettの研究(2013年)は、遊びがストレス対処能力を高めることを実験的に裏付けています。