私たちはそれぞれ個別の「クロノタイプ(個人の体内時計の活動パターン)」を持っており、大きく「朝型」「夜型」の2つに分けられます。

そしてこのほど、オランダ・フローニンゲン大学(University of Groningen)の最新研究で、夜型の人は朝型の人に比べて、認知機能の低下スピードがより速くなる可能性が示されました。

特にその影響を受けやすいのは、大学レベルの高等教育を修了している人たちでした。

反対に中学卒業レベルの方々は夜型でも、認知機能のより速い低下は見られなかったとのことです。

なぜ高学歴の人は夜型だと、認知機能が低下しやすくなるのでしょうか?

研究の詳細は2025年4月の学術誌『The Journal of Prevention of Alzheimer’s Disease』に掲載されています。

目次

  • 大卒の夜型は認知機能の低下が速まる?
  • 2つの生活習慣が脳に追い打ちをかけていた

大卒の夜型は認知機能の低下が速まる?

人には「クロノタイプ」と呼ばれる、体内時計に基づいた睡眠・活動の傾向があります。

朝早くから元気な“朝型”もいれば、夜遅くに覚醒する“夜型”もいます。これらは遺伝的要因も大きく、生まれつきの体質に近いものです。

今回の研究では、オランダ北部に住む40歳以上の約2万4000人を対象に、睡眠習慣と認知機能(非言語的な流暢性や実行機能)との関連を10年間にわたり追跡しました。

そしてデータ分析の結果、夜型の傾向が強い人ほど、認知機能が低下するスピードが速いことが明らかになったのです。

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Credit: canva

さらに注目すべきは「高学歴(大学レベル以上)」の参加者にこの傾向が顕著に表れていたことでした。

反対に、義務教育レベルまでを修了した人々では、たとえ夜型であっても、認知機能の低下スピードが速まることはなかったのです。

では、なぜ高学歴者に限ってこの影響が強く出てしまったのでしょうか?