産学官連携で目指すAIセキュリティの未来
「AIセキュリティポータル」の構築事業は、セキュリティ技術の研究者のみならず、政策研究を専門とするメンバーも参画するチームが、政府のAI戦略の方向性に沿う形で、AIセキュリティの社会的基盤確立を目指すプロジェクトとして推進。技術的知見だけでなく、政策や規制の観点も含めた総合的なアプローチを採用している。
今後5年間の計画では、シンポジウムやワークショップの開催を予定している。「座学だけでなく、実践的な演習を通じてAIセキュリティへの理解を深めていただく機会を提供していきたい」と披田野氏は展望を語る。さらに、AI関連の認定団体との連携も視野に入れており、AIセキュリティ教育の基盤としての役割も果たしていく考えだ。
「当面の目標は、企業や個人がAIを安全に活用するための情報ハブとなること。そして最終的には『AIセキュリティといえばここ』と言われるような情報基盤となることを目指しています」と披田野氏は意気込みを示す。
海外ではすでにAIセキュリティに関する様々な取り組みが始まっているが、日本語での包括的な情報源は限られている。AI活用が社会に浸透する中、その安全な利用を支える重要なインフラとして、同サイトの役割は今後ますます重要になりそうだ。
(文=秋葉けんた/ITライター)