80周年のVEデーに向けて、英国では5月5日から4日間、国を挙げての式典やイベントが開催された。初日にはロンドンの中心地ホワイトホールからバッキンガム宮殿に向かう軍事パレード、空軍機の儀礼飛行が行われ、通りは国旗を持った人々でいっぱいになった。

6日にはロンドン塔でセラミック製の赤いポピーの花のインスタレーションが公開された。赤いポピーは戦死者追悼の象徴である。翌7日にはウェストミンスター宮殿にあるウェストミンスター・ホールでコンサートが開かれ、最終日8日にはウェストミンスター寺院で記念ミサが行われた。

この数日間、英国民は「ストリートパーティー」の開催を奨励される。路上に長テーブルを並べ、人々が料理やお菓子を持ち寄って交流する集まりだ。紙製国旗、国旗をモチーフとするナプキンやテーブル・クロス、帽子などがお目見えした。

政府は80周年を記念するウェブサイトを特設している。VEデー及びVJデーを「英国および英連邦の第2次大戦世代を称え、敬意を表するために、「国民が一堂に会する機会」と定義し、国民が参加できるイベントの情報を掲載している。

文化・メディア・スポーツ省の支援を受けて、帝国戦争博物館は戦時中に家族が前線の兵士に送った手紙を募集し、これをもとにパフォーマンスが行われた。教育現場では元兵士からの体験談を子供たちに伝えるプログラムを実施。いずれも80年前の戦争の記憶を次の世代に継承していく試みである。

VJデーはどうなる?

VJデーに特化したイベントの詳細も今後発表されていくが、その1つとして国立記念植物園で英国在郷軍人会連盟による式典が開催される予定だ。5年前、同植物園で開催された75周年の式典にはチャールズ皇太子(現国王)が出席している。日本軍による強制労働で多くの連合軍捕虜が犠牲になった泰緬鉄道工事の犠牲者をしのぶ慰霊碑に花輪を捧げた。

日英両国は1902年に日英同盟を結び良好な関係を維持したが、第2次大戦では戦火を交えた。英政府によると、約5万人の英兵が旧日本軍の捕虜となり、約1万2千人が過酷な扱いなどで死亡した。1998年、上皇后ご夫妻の訪英時には、日本に抗議の意を示すため元捕虜たちがロンドン市内を馬車で進むご夫妻に背を向けるデモを決行した。