結果としてはこのクロスへの対応がDF谷口のオウンゴールにつながったわけですが、DFリーダーの谷口としては味方に守備ブロックを作るように指示を出そうとしたタイミングでボールが放り込まれたような感じだったことでしょう。
普段のDF谷口であればミスするようなボールでもありませんでしたし、ゴールキーパーに指示を出して処理を任せるという選択肢もあったはずです。これができなかったのは、オーストラリアの強固な守備に焦らされた結果、ほとんどの選手の意識が敵の攻略に向かいすぎていたからだと言えるでしょう。
進化した日本は過去の負けパターンに囚われない!!
実はこのような点の取られ方は1990年代に日本代表の技術が急上昇してから2010年代までの典型的なアジアの強豪相手への負けパターンです。前回オーストラリア戦では日本が1点を返して引き分けに終わりましたが、オーストラリアはこの戦い方に自信をつけたことでしょう。
今回の日本代表は常連メンバーではなく久々の選出、または初選出の選手が数多くいます。それらの選手は次も呼ばれるために活躍しようと良くも悪くもがんばるものです。すると、再び前回対戦のように焦らされると…同じような展開に持ち込まれるかもしれません。
ここで大事なことは、今回も屈強なオーストラリアの守備ブロックを強引にこじ開けようとしてはいけないということです。前回のようなチャンスを相手に与えるだけです。
それよりは技術とアジリティという日本代表の強みでサイドチェンジや攻撃の組み立て直しを繰り返すことで敵の守備ブロックを逆に焦らすことです。こうして、相手の心理を消耗させ、じわじわと綻びを作ることができます。
今回は常連の中ではそのような戦術がうまいMF鎌田も選出されています。実際、前回の対戦でも同点ゴールはMF鎌田から始まった敵を焦らす展開から生まれていました。MF鎌田の戦術的な意識をチームが共有できるかどうかが鍵になるでしょう。果たして前回の失敗を修正した戦い方ができるのか…。私が思うに、6月5日オーストラリア戦の見どころはここにあるかと思います。