音楽ではヒットチャート的なもので国民を縛り付けたのですが、それが廃れたきっかけは逆説的にジャニーズとAKBがチャートを占拠したからではなかったでしょうか?なぜならあれほど話題になる一方で嫌な人、ファンではない人にとって逃避するところを必死で見つける必要があったのです。同様に12月31日の紅白歌合戦に対して民放は紅白に負けない特番を組み、牙城切り崩しを行いました。もちろん紅白の番組構成があまりに汎用的で現代人に受けないこともありますが、それ以上に国民に押し付けをする商品は当たりにくくなったとも言えないでしょうか?

私どもはアニメ商品も扱っており、今月から夏の間は毎月のようにイベント出店が続きますが、今年はアニメで大ヒット作品がなく、テーマが絞れません。そんな中、店づくりはどうするかといえば多品種少量仕入れでどんな趣味のお客様にも希望に応えられる商品構成にするしかありません。日本の書店に行くと村上春樹氏の「街とその不確かな壁」が山積みを通り超え、某書店では「文庫タワー」を作っていたのですが、時代遅れのセンスだなと感じるわけです。春樹ファンは一定層いますが、比較論理ならエンタメ系の軽いタッチの東野圭吾の方が圧倒的に一般性はあるのです。書店員のテイストが出すぎて売る側と読む側のミスマッチを感じました。

今後、ヒット番付が意味をなすのか私には疑問を感じます。押しつけ型のマーケティングはもう流行らないのです。客が自分で調べて欲しいものをきちんと選択できる時代とも言えそうです。商品開発の難しさを感じる今日この頃ですね。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年6月4日の記事より転載させていただきました。