「あのとき、ああしていれば…」と、いつまでも考えてしまいますか?
それは一見、自然な思考のように思えるかもしれませんが、実は心の健康を脅かす危険なサインかもしれません。
025年5月にアメリカの心理学者マーク・トラバース(Mark Travers)氏は、そうした「反事実的思考」が、私たちにどのような影響を与えるのか解説しています。
特に注目すべきは、「反事実的思考に囚われがちな人に共通する2つの傾向」です。
本記事では、反事実的思考とは何か、そしてそこから抜け出すための具体的な方法について解説していきます。
目次
- 「あの時、ああしていれば……」反事実的思考と2つの傾向
- 反事実的思考から抜け出すための実践的アプローチ
「あの時、ああしていれば……」反事実的思考と2つの傾向
「反事実的思考」とは何でしょうか?
これは、「もしあのとき、違う選択をしていたら…」と過去の出来事に対して別の展開を想像する思考パターンのことを指します。
トラバース氏は、この思考を繰り返すなら深刻な精神的影響をもたらす可能性があると警鐘を鳴らしています。
では、反事実的思考にとらわれている人には、どのような傾向があるのでしょうか?

まず明らかな傾向として、「後悔が行動力を奪っている」ことが挙げられます。
この傾向は、反事実的思考の中でも「上向きの反事実的思考」と呼ばれるものに顕著です。
上向きの反事実的思考とは、「ああしていれば、状況がもっと良くなっていたかもしれない」と考えることです。
例えば、「もっと勉強していれば、今頃は夢の職業についていたのに」と何年も後悔し続けるケースが該当します。
当然ながら、こうした思考は現在の行動力さえも奪ってしまいます。
実際、13,000人以上を対象とした2017年のメタ分析によると、このような上向きの反事実的思考は、抑うつ症状と有意な関連性があるとわかっています。