医師の警告も「どこ吹く風」? 地元住民の反応

 専門家たちは、この生魚料理を加熱調理して肝吸虫を殺すよう人々に働きかけてきた。しかし、地元の人々は「加熱すると味が完全に損なわれる」と主張し、生食をやめようとしない。

 医師のナロン・クンティケオ氏は、この問題に警鐘を鳴らし続けている一人だ。彼の両親もコイプラを食べた後に肝臓がんで亡くなっており、それが彼を肝臓外科医の道へと進ませた。彼はこの珍味の危険性についての意識を高めようと必死だが、その警告はなかなか人々の耳に届かないという。

「この地域では非常に大きな健康問題です」と、クンティケオ医師は以前、AFP通信にその深刻さを語っている。「しかし、人々は木の葉が落ちるように静かに死んでいくため、誰もこの問題に気づいていないのです」。この言葉からは、問題の根深さと、啓発活動の難しさがうかがえる。

 クンティケオ医師はかつて、科学者、医師、人類学者のチームと共に4年間、イサーン地方の村人を対象に肝吸虫の検査を行った。超音波検査と尿検査キットを用いた結果、一部のコミュニティでは住民の80%もの人々から、この致死的な寄生虫が検出されたという。

 これほど圧倒的な証拠があるにもかかわらず、年配の世代はクンティケオ医師の懸念を一笑に付す傾向にあるという。彼らは長年の習慣を頑なに守り続けているのだ。

 この危険な料理について助言した際に最もよく聞かれる反応について、クンティケオ医師はこう明かす。「彼らはこう言うでしょう。『まあ、死に方なんていくらでもあるさ』とね。しかし、私にはこの答えを受け入れることはできません」。

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(画像=画像は「YouTube」より,『TOCANA』より 引用)