「一口食べたら肝臓がんになるかもしれない料理」。そんな恐ろしい料理が、タイには存在する。専門家がいくら警告しても、多くの人々がその味を求めてやまないという。年間2万人もの命を奪うとされながらも愛され続ける、その危険な珍味の正体とは?
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謎の珍味「コイプラ」、その危険な正体
その料理の名は「コイプラ」。タイのコンケン県やイサーン地方で非常に人気のある伝統料理だ。材料は、細かく刻んだ生の淡水魚に、ハーブ、スパイス、ライム果汁、そしてなんと生きた赤アリを混ぜ合わせたもの。
「アリが危険なの?」と想像するかもしれないが、問題の核心は実は主材料である淡水魚にある。メコン川流域で獲れるこれらの魚には、肝吸虫(かんきゅうちゅう)と呼ばれる寄生虫が潜んでいることが多いのだ。

(画像=肝吸虫の卵 画像は「Wikipedia」より,『TOCANA』より 引用)
この肝吸虫が体内に入ると、胆管がん(肝内胆管がん)を引き起こす可能性がある。この病気は「静かなる殺人者」とも呼ばれ、手術で治療しない場合の生存率は極めて低い。しかも、初期には症状が現れにくいという厄介な特徴を持つ。症状が現れる頃には、黄疸、体重減少、腹痛、便通の変化、皮膚のかゆみ、全身倦怠感などに苦しむことになる。
イサーン地方はコイプラの消費量が多いため、この胆管がんの報告率が世界で最も高い地域の一つとなっている。