Qアノンを信じる人々は本気でアメリカは悪魔崇拝者の支配を受けており、トランプ氏がそれに対抗する「光の戦士」であると思い込んでいるのです。
Qアノンとトランプ氏の関係をちょっと詳しく
Qアノンの世界観では、ドナルド・トランプ氏は「闇の勢力」とされる悪魔崇拝の小児性愛ネットワークや腐敗した政府高官、巨大メディアなどとたった一人で戦う“光の戦士”として描かれています。支持者たちは、トランプ氏が大統領時代から極秘に「ディープステート」を一掃する作戦を進めており、匿名投稿者 “Q” が投下する暗号めいたメッセージは、その戦いの進捗を示す合図だと信じています。彼らにとって、議会や司法の動きがどれほどトランプ氏に不利に見えても、それは光が闇を暴くために必要な布石であり、やがて来る「嵐」――大量逮捕と闇勢力の壊滅――の前兆にすぎません。この物語構造の中でトランプ氏は、聖書の救世主やファンタジーの勇者のような役割を与えられ、失敗やスキャンダルさえも「大いなる覚醒(Great Awakening)」へ導く試練と再解釈されるため、彼を疑うこと自体が“闇側”への加担とみなされるほど強固な信仰の対象になっているのです。
2022年までにアメリカ人の約3分の2がQアノンの存在を知り、5人に1人は身近に信奉者がいると答えるまでになったのです。
Qアノンの広がりとともに、多くの家庭が分断に苦しみました。
日本で言えば家族の誰かが特定の首相を「光の戦士」として信奉し、その思想に従って活動している状況に近いと言えるでしょう。
陰謀論を巡る家庭内対立はメディアでも度々取り上げられましたが、それを科学的に分析した研究はまだ少ないのが実情です。
陰謀論が個人に与える影響については多くの研究がありますが、親しい人間関係に与える影響は十分に解明されていませんでした。
そこで注目されたのが、前述のレディット(reddit)と呼ばれるアメリカの匿名掲示板の「Qアノンの犠牲者たち」というテーマのスレッドたちです。