その中で、巨大ナマケモノを衰退させた真の原因として考えられるのが、人類の台頭です。

ちょうどこの頃、人類がアジアからアメリカ大陸へと渡りはじめました。

道具を使い、集団で狩りを行う人類にとって、動きが鈍く防御手段にも乏しい巨大ナマケモノは格好の獲物でした。

象ほどの巨体も、石器と戦術の前には無力だったのです。

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巨大ナマケモノの爪化石/ Credit: Florida Museum(2025)

地上性ナマケモノたちは次々と狩猟の標的となり、北米から南米、カリブ海の島々に至るまで、急速に数を減らしていきました。

彼らが築き上げた「巨体による成功の戦略」は、皮肉にも人類という新たな捕食者の出現によって崩壊したのです。

一方、森林の樹冠でひっそりと暮らしていた小型の樹上性ナマケモノは、人類の目が届きにくい場所にいたために比較的生き残ることができました。

現在、ナマケモノとして存在するのはたったの6種であり、そのすべてが樹上性です。

ただ、木々に隠れることで生き延びた彼らも決して安泰ではありません。

現在も6種のうち2種は絶滅危惧種に指定されており、森林伐採や気候変動の影響によって、存続が脅かされています。

ナマケモノを適切に保護するためにも、今回のような進化史の理解をさらに深めることが重要となるでしょう。

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参考文献

Sloths The Size of Elephants Roamed America, Before Abruptly Vanishing
https://www.sciencealert.com/sloths-the-size-of-elephants-roamed-america-before-abruptly-vanishing

Scientists have figured out how extinct giant ground sloths got so big and where it all went wrong
https://www.floridamuseum.ufl.edu/science/scientists-have-figured-out-how-extinct-giant-ground-sloths-got-so-big-and-where-it-all-went-wrong/