温暖化によって降水量が増え、森林が広がり、樹上生活に適応した小型ナマケモノの生息環境が増えたためと考えられます。

また、体のサイズを小さくすることは、暑さへの適応手段としても知られています。

その後、火山活動が終息しても温暖な気候は約100万年続き、やがて再び地球は寒冷化に入りました。

そうしてナマケモノは大型化の道を歩み始めるのです。

巨大ナマケモノの出現、そして絶滅した理由とは?

寒冷期に入った地球には過酷な環境が広がりましたが、その中で地上性のナマケモノは木のない場所でもタフに生きることができました。

彼らはアンデス山脈を越え、サバンナ、砂漠、落葉樹林、さらにはカナダやアラスカの寒帯林にも進出したのです。

しかし地上は樹上とは違って、危険がいっぱいです。

過酷な環境への適応のため、地上性のナマケモノたちは体をどんどん大きくし、水分とエネルギーを節約しながら広い領域を移動する能力を得ていきました。

また草原のような開けた場所では、捕食者から身を守る必要があり、体が大きいことが防御手段になります。

こうして誕生した「巨大な地上性ナマケモノ」の代表格がメガテリウムミロドンです。

体重はなんと3〜4トンに達し、立ち上がるとアジアゾウほどの大きさになりました。

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メガテリウムの復元図/ Credit: ja.wikipedia

「彼らの見た目はグリズリーベアのようでしたが、大きさはその5倍もありました」と研究者は話します。

これらモンスター級の巨大ナマケモノは自分で洞窟を掘ることもでき、絶滅種を含む哺乳類の中でも最大級の爪を使って、硬い地面や岩を掘り進めていたのです。

では、巨大ナマケモノたちはなぜ姿を消してしまったのでしょうか?

その決定的な転換点は、今から約1万5000年前に訪れました。

この時期、地球は氷期から間氷期へと移行し、気候にも変動が起きましたが、研究者たちは「気候変動だけでは説明がつかない」と指摘しています。