木にぶら下がってのんびり過ごす、あの愛らしいナマケモノ。
しかしかつての地球には、象のように巨大なナマケモノが地上をのし歩いていました。
その巨体で木の上の葉を食べ、岩を引き裂き、洞窟を自ら掘って生きていたのです。
そんなモンスター級の巨大ナマケモノはいかに誕生し、そしてなぜ突如として姿を消してしまったのでしょうか?
このほど、アルゼンチン・国立科学技術研究評議会(CONICET)らの最新研究で、3500万年にわたるナマケモノの進化史が明らかにされました。
研究の詳細は2025年5月22日付で科学雑誌『Science』に掲載されています。
目次
- 誕生初期に「小型化」が起こった理由とは?
- 巨大ナマケモノの出現、そして絶滅した理由とは?
誕生初期に「小型化」が起こった理由とは?
研究チームは今回、現生種と絶滅種のDNA、化石形状、生活環境、食性、移動様式などのデータを統合し、3500万年以上前までさかのぼるナマケモノの進化系統樹を作成しました。
すべてのデータを組み合わせた結果、ナマケモノのサイズ変化は生息環境、特に気候と密接に関連していたことが明らかになっています。
まずナマケモノの最初の祖先が地球に現れたのは、今から約3500〜3700万年前の南アメリカです。
当初のナマケモノは、現在のグレート・デーン犬ほどの大きさをもつ地上性動物で、樹上生活はしていませんでした。
その後、2000万年近くにわたってナマケモノのサイズはほぼ変化しませんでしたが、そこに大事件が起こります。
現在のワシントン州からアイダホ州、さらにオレゴン州やネバダ州を貫くように、巨大な火山裂け目が発生し、マグマがあふれ出たのです。

この火山活動は約75万年にわたって続き、地球は温暖な時代に突入しました。原因は火山由来の温室効果ガスとされています。
このとき、ナマケモノは小型化します。