とはいえ、ATMOの「変形しながら」の領域移行を可能にしている最大の鍵は、先進的な制御アルゴリズムにあります。
このアルゴリズムは、変化する機体の形状とスラスターの向き、さらに地面との距離をリアルタイムで考慮しながら、制御目標を柔軟に更新できます。
つまり、ATMOは「今どんな形をしていて、どれだけ推力がズレていて、どう動けば安定できるか」を常に先回りして考えて行動しているのです。
研究チームのMandralis氏は「この制御アルゴリズムこそが論文の最大の技術革新だ」と述べています。
新しい制御アルゴリズムの開発こそが、従来の技術では困難だった“前進と変形の同時進行”を可能にした最大の要因と言えるのです。
私たちがアニメで見てきた「変形しながら空と地上を行き来するロボット」は、このようにして、一歩ずつ実現していっています。
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参考文献
Flying robot morphs in mid-air to land and roll on wheels
https://newatlas.com/robotics/atmo-flying-wheeled-morphing-robot/
Mid-Air Transformation Helps Flying, Rolling Robot to Transition Smoothly
https://www.caltech.edu/about/news/mid-air-transformation-helps-flying-rolling-robot-to-transition-smoothly
元論文
ATMO: an aerially transforming morphobot for dynamic ground-aerial transition
https://doi.org/10.1038/s44172-025-00413-6
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。