注意すべきなのは混泳で、小さな弱い魚、例えば遊泳性のハゼなどとの混泳はできるだけ避ける必要があります。
逆に本種の幼魚はまだかよわいところがあるため、強い魚との混泳は避けたいところです。

このようにソラスズメダイの飼育は海水魚としては容易ではあるものの、色彩の維持という意味ではやや難しいところがあります。
ソラスズメダイはあっという間に色を変えてしまい、体を青くしたり、黒っぽくしたりします。背景が黒っぽいと黒くなることもあるのかもしれませんが、明るいサンゴ水槽でも黒っぽくなってしまうことがあります。

夜間の休息時は写真のように全身が黒くなるほか、個体によっては灰色のまだら模様が現れることもあります。
自然下では「水温の低下に伴い体色は黒みを帯びる」との記述も見られ(ただし25℃で飼育していても黒っぽくなる)、「色を変えるのがソラスズメダイの魅力」ととらえるとよいでしょう。
磯でソラスズメダイ観察
私にとって、ソラスズメダイは海水魚採集の原点。あの日、和歌山県の磯でカラフルなソラスズメダイとの出会いが、今の私を作っているといっても過言ではないといえます。
磯採集へ出かけてソラスズメダイを網におさめたら、ぜひ観察ケースの中でじっくり観察してみてください。
そして気に入ったらお持ち帰りして、じっくり飼育してみてください。ただし、お約束として、飼育した魚は最後まで世話するということを忘れないようにしましょう。

参考文献
・樋口聡文・久木田直斗・本村浩之. 2022. 九州初記録のスズメダイ科魚類ルリスズメダイ.Japan.Ichthy, Natural History of Fishes of Japan, 22: 5?8.
・本村浩之・松浦啓一、(2014)、奄美群島最南端の島 ― 与論島の魚類.鹿児島大学総合研究博物館、鹿児島市・国立科学博物館
・中坊徹次編(2013)、日本産魚類検索 全種の同定 第三版.東海大学出版会
・西田高志・松永 敦・西田知美・佐島圭一郎・中園明信.2004.宗像郡津屋崎町沿岸魚類目録.九州大学大学院農学研究院学芸雑誌, 59: 113~136.