ネット上では「パンを冷凍すると体に良くなる」という噂がまことしやかに囁かれています。

「嘘くさい情報だな」と思う人もいるかもしれませんが、実際、過去の研究で報告されている作用できちんとした根拠が存在します。

研究によるとこの作用は、パンを焼いたときに発生する粘性のあるデンプンが、冷凍することで消化・吸収されにくい「レジスタントスターチ(resistant starch)」という難消化性デンプンに変化することで起こります。

この消化されにくいデンプンは、血糖値の急上昇が抑えられるだけでなく、腸内環境を整える効果も期待できるというのです。

このデンプンが作用した効果は、ご飯を冷凍した場合にも見られるといいます。

では、その詳しい仕組みや健康効果について見てみましょう。

目次

  • 焼き立てパンの「デンプン」のマイナス面とは?
  • パンを一度冷凍することで得られる健康効果

焼き立てパンの「デンプン」のマイナス面とは?

まずは焼き立てのパンに含まれるデンプンの性質について見てみましょう。

パンを焼くと、しっとりとした生地がふわふわのパンに変身しますが、このとき、小麦粉に含まれるデンプン分子が熱と水分により規則性を失い、粘性のあるデンプンへと変わります。

このように、デンプンが水と一緒に加熱されることで粘度のある糊状になる現象を「糊化(こか)」または「α化(あるふぁか)」といいます。

糊化は他に、白米を炊いたときや小麦粉をソースに加えてとろみをつけるときにも起こるものです。

そのためお米を炊飯器で炊くとベタベタとくっつく状態になりますが、それはデンプンが糊化しているためです。

デンプンが水と合わせた加熱されると、粘性のあるデンプンへ変わる
デンプンが水と合わせた加熱されると、粘性のあるデンプンへ変わる / Credit: canva

糊化したデンプンは小腸で簡単に消化されやすく、体内にすばやく吸収されて、体のエネルギー源となりますが、その反面、デンプンに含まれるグルコース(糖分)を細胞に取り込みやすくしてしまいます。