この部門ではゲームプログラムのバグを利用することで、ゲーム開始から数秒~数十秒でエンディング画面に到達するなど、一般の人々には理解不能な方法でのスピードクリアを実現させています。
ルール無用のスピードクリアは、スーパープレイを期待して動画を訪れた人々にとっては拍子抜けかもしれませんが、使用されているハッキング技術は極めて高度となっています。
さらに技術の切磋琢磨は現代でも続いており、次々に最新記録が塗り替えられています。
またスピードランが目的でなくとも、新たなバグ技の発見はスーパーマリオを愛する人々の間で素早く共有されていきます。
そこで今回、ブリストル大学の研究者たちは、任天堂スーパーマリオで発見されたバグ技をスピードランで使われるものを中心に、学術的に分析することにしました。
バグ利用者たちの魔法のような技術を解析することで、現代のソフトウェア開発における脆弱性やバグの理解に役立つ可能性があったからです。
調査にあたっては初代の「スーパーマリオブラザーズ(1985年)」、「スーパーマリオブラザーズ3(1988年)」、「スーパーマリオワールド(1990年)」、「スーパーマリオ64(1996年)」でのバグ技が調べられました。
どれも古い時代のソフトですが、今でもスピードランの記録更新が活発に行われています。

上の表は現在の記録保持者とタイム、そしてタイムの更新された日時などを示しています。
表を見るとスーパーマリオワールドでは2020年に、41秒という驚異的な記録が建てられたことがわかります。