(※ 畜産動物は胃を4つ持っていて、最も大きな第一の胃「ルーメン」で食物を分解している)

畜産動物は体内で「メタン」を作れる(※ 牛の胃は4つあるが、図中では簡略化して一つのみ表示)
畜産動物は体内で「メタン」を作れる(※ 牛の胃は4つあるが、図中では簡略化して一つのみ表示) / Credit: canva / ナゾロジー編集部

メタンは可燃性なので、ドラゴンが火を吐くための燃料にもなり得るでしょう。

しかし問題は「メタンの量にある」とローチ氏は指摘します。

みなさんのイメージにもあるように、ドラゴンはかなり長い時間「ゴゴォー!」と持続して火を吐き続けることができます。

これを踏まえると、ドラゴンはかなり大量のメタンガスを体内に保持していなくてはなりません。

ところが陸上の生物の体は非常に低い圧力にしか耐えられないため、高圧で大量のガスを蓄えておくことは生物学的に不可能だというのです。

強靭なドラゴンといえども、大量のメタンを長時間にわたり積んでいれば破裂してしまうかもしれません。

たとえ耐えられたとしても、体に相当な負荷がかかることは確かであり、効率はよくないでしょう。

大量のメタンを積んでおくには生物学的に無理があるらしい
大量のメタンを積んでおくには生物学的に無理があるらしい / Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部

そこでローチ氏は第二候補として「エタノール」を挙げます。

エタノールは可燃性の液体なので、気体のメタンよりは効率よく体内に貯蔵できるといいます。

またエタノールもメタンと同様に、体内の微生物によって生産することが可能です。

ただエタノールにも問題があります。

というのもエタノールは体の代謝ですばやく処理されやすいため、高濃度に保っておくことが難しいのです。

これらを踏まえてローチ氏は、ドラゴンのベストな燃料として「オイルベース」の物質を挙げます。

オイルベースの燃料なら簡単に火もつきますし、体内での処理も遅く、相当量の燃料を効率的に保持しておくことができるという。

この生物学的な根拠は「フルマカモメ」が示してくれています。

体内で胃油を生産できるフルマカモメ
体内で胃油を生産できるフルマカモメ / Credit: ja.wikipedia