実際、研究グループは今後トラメチニブの最適な投与量や投与経路を検討し、人で副作用を最小限に抑えつつ効果を最大化する方法を探る計画です。
筆頭著者のセバスチャン・グレンケ博士は「トラメチニブ、とりわけラパマイシンとの組み合わせは、老化防止薬(ジェロプロテクター)として臨床試験で試す有望な候補です。
我々の結果が今後他の研究者によって引き継がれ、人間で試験されることを望んでいます」と述べています。
安全性や効果を慎重に見極める時間は必要ですが、将来的にはこのような「抗老化カクテル」によって人間の健康寿命を延ばすことも夢ではなくなるかもしれません。
今回のマウス実験の成功は、“老化という壁”に挑む医療研究において大きなマイルストーンと言えるでしょう。
全ての画像を見る
元論文
The geroprotectors trametinib and rapamycin combine additively to extend mouse healthspan and lifespan
https://doi.org/10.1038/s43587-025-00876-4
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部