研究チームも次のように述べています。
「夢を持ち続けることは大切ですが、重要なのは早期になりたい職業を明確にすることではありません。
さまざまな選択肢に触れ、柔軟に進路を考えることも、これからの時代にはより重要になると考えられます」
そのため、家庭や学校では、さまざまな職業体験やロールモデルを紹介し、子どもたちが夢を柔軟にアップデートできる環境を整えることが求められています。
“将来を考えること”が勉強好きに繋がる?
調査では「この1年で自分の進路について深く考えたことがあるか?」という質問が行われました。
そして他の質問との関連も分析されました。

その結果、「進路について深く考えた経験がある」子どもたち(経験あり群)は、「勉強が好き」と回答する割合が高く、「勉強しようという気持ちがわかない」と感じている割合は少ないと分かりました。
また、経験あり群は「ニュースに関心がある」「好きなことを自分で調べる」といった、より能動的な学習行動も多く見られました。
さらに彼らでは1日の平均勉強時間も長く、探究姿勢と学習量はセットで現れることが示唆されています。
もちろん因果関係が逆の可能性──つまり、「勉強が好きだから進路を考える」パターン──も否定はできません。
それでも、“将来を考える体験”が、子どもたちの学びにポジティブな影響をもたらしているのは間違いなさそうです。
将来を考えるきっかけは“先生と親”
では、子どもたちはどうして「進路について深く考える」ようになるのでしょうか?

図表によると、「尊敬できる先生がいる」と答えた子どもたちは、進路を深く考えた経験を持つ割合が高い傾向がありました。