保守派がトランプ政権を支持する理由の中に、「反ユダヤ主義」の是正がありましたが、人権を尊重していないように見えますよね。実は、別の要因も潜みます。

XなどSNSを中心に、反ユダヤ主義者、すなわちパレスチナ支持者として抗議活動を組織するカリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の学生に、中国系の学生が混じっていたとして、話題になりました。これを受けて、保守派は一連の抗議活動につき、中国人学生による扇動が一端を担ったと捉えたのです。

2024年9月、ニューヨーク州のホークル知事の下、DEI関連の側近を務めた中国出身の女性が中国政府の「代理人」としてスパイ活動に従事していたとして逮捕されていただけに、中国人学生の存在に神経質となっていたと考えられます。何しろ、ハーバード大学の留学生の2割は中国人とされ、共産党幹部を始めとした有力者の子供がひしめくとも取り沙汰される始末です。

保守派だけが大学に批判的だったかというと、そうではなく、そもそも米国内で高等教育に対する疑問が浮上していました。

2024年7月にギャラップが発表した世論調査結果では、高等教育について「ほぼ信用せず、全く信用していない」と回答する割合は32%と、少なくとも2015年以降で最高でした。逆に「大いに、かなり信用している」との回答は36%と、2015年の57%から大幅低下し、過去9年間で最低を更新。特に共和党支持者の間で「ほぼ信用せず、全く信用していない」が50%と急伸したほか、無党派層の31%とそろって2015年以降で最高を記録していたのです。民主党支持者でも12%と、9年ぶりの高水準でした。

信用を失った理由のトップは「政治的優先課題」が挙げられ、そのうち「プロパガンダ」が25%、「リベラル過ぎる」が17%を占めました。続いて、「正しいことを教えていない」が37%にのぼり、そのうち「適切な能力が教えられていない」が30%にのぼっています。

高等教育への信用は低下傾向出所:Gallup