トランプ政権はその数時間後、即座に報復措置としてハーバード大学への補助金22億ドルと、6,000万ドル相当の契約、合計で約22.6億ドルを凍結する決定を下しました。
ハーバード大学は4月22日、反撃に打って出ます。トランプ政権を相手取り、補助金凍結を不当として、マサチューセッツ連邦地方裁判所に提訴しました。
ハーバード大学は、主に以下の3つ、①補助金凍結は「恣意的かつ軽率」であり、合理的な根拠がない、②トランプ政権は反ユダヤ主義の懸念と凍結された研究との間に合理的なつながりを明確化していない、③凍結はアメリカ合衆国憲法修正第1条や民権法第6条(連邦補助金を受ける事業や機関において、人種、皮膚の色、または出身国に基づく差別を禁止する規定)に違反する――と主張しています。
両者の対立は激しさを増し、トランプ大統領は5月22日にハーバード大学に留学生の受け入れ資格の停止を発表、5月26日にハーバード大への助成金30億ドル打ち切り、職業訓練学校への振り分けを検討とトゥルース・ソーシャルに投稿しました。ハーバード大学は5月23日、留学生のトランプ政権を相手取って提訴、ホストン連邦地裁は、ハーバード大の資格を剥奪する政権の措置を一時差し止めする判断を下しています。
トランプ政権の行動は大学の運営に干渉するだけでなく、補助金凍結を通じ学術の自由や研究の継続性を危険に晒し、人権侵害にも匹敵する措置との批判を浴びています。ハーバード大学卒業生のオバマ元大統領は、「学術の自由を抑圧する違法な試み」と非難、ハーバード大学の姿勢を称賛、多くのリベラル寄りのアメリカ人も同調しています。
一方で、保守系のアメリカ人はトランプ政権の行動を支持。ハーバード共和党クラブも、「イデオロギー的支配を逆転させるという連邦政府の要求に従うことを拒否した」と批判しました。
一般的な保守派も、ハーバード大学を「リベラルなエリート主義」の象徴とみなし、反ユダヤ主義や左派偏向を是正するとして、トランプ政権の決定を正当化しています。また、保守派は、米連邦政府資金は納税者のものであり、大学は政府の条件に従うべきとも主張。もともと、ハーバード大学は約530億ドルもの基金を有する名門大学で富裕層も多く、この機会に補助金の必要性に懐疑的な見方を寄せた保守派も少なくありません。