その結果、男性は誘惑後に体験的消費を、女性は物質的消費を選ぶ傾向が顕著に見られました。

つまり男性は、パートナー以外の魅力的な異性に出会ったとき、体験的消費(旅行、冒険など)を選びやすくなり、女性は同様の状況で、物質的消費(服、装飾品)を好む傾向が強まったのです。

この違いの背景には、「どのような魅力的自己像を演出したいか」という性別による違いがあります。

男性は“行動力があり、人生を楽しめる男”というイメージを演出したがります。

一方で、女性は“洗練され、美しく、価値ある女性”という印象を作りたがるという傾向があるとわかります。

では、このような変化は、いわゆる「浮気心」の証拠なのでしょうか?

新しく出会った「魅力的な人」に自分を良く見せたいので、そのように消費行動を変化させるのでしょうか。

続く実験によると、実はその「逆」だったようです。

人は異性に誘惑されると、既存の関係を強めるために「消費行動」を変化させる

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魅力的な異性に出会った後、人々は罪悪感を覚え、現在のパートナーとの関係を強化しようとする / Credit:Canva

Study 2では、独身者と恋愛中の被験者を比較しました。

その結果、魅力的な異性に出会ったとき、消費行動の傾向が変化したのは「非独身者」のみでした。

これは、消費行動が「新しい相手を惹きつけるため」ではなく、「今のパートナーとの関係を補強するため」に行われている証拠と考えられます。

Study 3では、「罪悪感」が測定されました。

その結果、魅力的な異性に出会ったとき、被験者の多くは、今のパートナーに対する罪悪感を覚えると分かりました。

特に、消費行動の傾向が変わった人にその傾向が強く表れました。

Study 4では、被験者に「自分はどれだけ良いパートナーだと思うか」を自己評価してもらいました。

その結果、異性から誘惑された人は、自分をよりポジティブに評価する傾向があり、その感情が消費行動に強く影響していたと分かりました。

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彼・彼女の消費行動が変化する時、彼らは自分をより魅力的に見せてあなたとの関係を守ろうとしているのかもしれない / Credit:Canva