この証言がアメリカ政府や議会で重視され、中国政府が本当に2027年を目標に台湾軍事侵攻を計画している確率が高いと目されるようになった。中国特別委員会のこの公聴会でも委員長自身がなおこの「2027年説」を保持していることが明白となったわけだ。
ムールナー委員長も中国の台湾攻撃の抑止策としてアメリカ側の軍事能力の向上を強く提唱した。実際の兵器類では同委員長は米側の潜水艦戦力とミサイル攻撃能力の大幅な強化を推奨した。
潜水艦はアメリカが中国に対してなお決定的な優位を保つ分野で、その優位の確実な保持が有効な抑止策になるという。ミサイルは中国側が驚異的なスピードで増強を進めており、米にとっての脅威も増しているが、米側も攻撃ミサイルの増強を図ることで、その中国側の威力を抑えられる、という思考が強調された。
この潜水艦とミサイルの戦力大幅増強については同公聴会では他の議員や証人たちからも同種の意見が出て、一種のコンセンサスに近い主張となった。
■
古森 義久(Komori Yoshihisa) 1963年、慶應義塾大学卒業後、毎日新聞入社。1972年から南ベトナムのサイゴン特派員。1975年、サイゴン支局長。1976年、ワシントン特派員。1987年、毎日新聞を退社し、産経新聞に入社。ロンドン支局長、ワシントン支局長、中国総局長、ワシントン駐在編集特別委員兼論説委員などを歴任。現在、JFSS顧問。産経新聞ワシントン駐在客員特派員。麗澤大学特別教授。著書に『新型コロナウイルスが世界を滅ぼす』『米中激突と日本の針路』ほか多数。
編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2025年5月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。