「中国人民解放軍はミサイル攻撃や上陸作戦だけでなくサイバー攻撃や経済威嚇という方法でも台湾を制圧しようと意図している。アメリカが中国を圧する軍事力の保持で中国の侵略を抑止するという能力は着実に減少している」
「台湾が独力で中国の軍事侵攻に対処する能力は明らかに不十分であり、アメリカは台湾への兵器供与の速度と規模を増さねばならない。またその中国の侵攻が実際に起きれば、アメリカ軍は武カ介入するという構えを保つことこそ抑止となる」
この両軍人の証言はアメリカ側の準備すべき対応については重点の微妙な差があるが、中国軍が実際の台湾侵攻の能力や意図を保っているという認識は共通していた。そしてその侵攻を防ぐにはアメリカ側が実際の軍事能力、戦闘能力を優位に保つことが最善策だとする主張も同様だった。
さらに証言したのはバイデン政権で国務副長官などを務めたカート・キャンベル氏だった。同氏も中国側の台湾侵攻への意図はありうるという立場を明確にしたうえで次のように述べた。
「中国の台湾侵攻の可能性に対してアメリカがどう対応するか、いま全世界が真剣に注視している。アメリカがあくまで台湾を守るという意思があるかどうか、その意思の存在が中国に対する抑止となる」
「台湾をはじめとするインド太平洋での中国の動向こそが21世紀のアメリカのパワーへの究極的なチャレンジとなる。だからアメリカは従来よりもさらにグローバルな構図でもインド太平洋へと抑止力の多くをシフトする必要がある」
この中国特別委員会の委員長のジョン・ムールナー議員(共和党)は「(中国の台湾侵攻の)2027年という時期はアメリカの設定ではなく、中国側の設定なのだ」と述べ、中国側の台湾の武力制圧への意図がなお現実的であり、2027年をその目標時期とするという認識を明らかにした。
この台湾侵攻の2027年説というのは、アメリカ側では「デービッドソン説」とも呼ばれる。アメリカ海軍のインド太平洋軍司令官だったフィリップ・デービッドソン提督が2021年の議会証言で「中国の習近平国家主席は人民解放軍に対して2027年には台湾を軍事力で制圧できる態勢を整えよという命令を出した」と明言した。