さらに注意したいのは「稼げない仕事」につけば頑張りがムダになる。たとえばデスクワークの事務職は人気職だが、空前の人余りが起きている。一方でITエンジニアやブルーカラーは人手不足で国家規模での人員の再配置が急務である。だが、受け身で待っているだけでは変化には時間がかかるので、早めに自ら業界の移動を考えることが大事だろう。
そしてもう1つは資産運用である。資産運用は円安、インフレをヘッジできるという大きな効果がある。現時点でNISAは活況のようだが、マネーリテラシーを高める努力は結果に直結しやすい。
その一方で、資産運用ばかりに熱心になるのも考えものだ。というのも、資産運用は種銭がないと文字通り、何も始まらないからである。さらに資本力がない時期は自分のスキルに投資する方が比較にならないほど圧倒的にリターンは大きい。そのため、資産運用はまずスキルアップをし、稼げる業界、稼げる仕事をした上、余剰資金を得てから考えるべきだろう。これは優先順位の問題だ。
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個人的に日本人の給与アップをする上で、国家に頼みたいのは過剰な規制を辞めることだ。
たとえば日本はかつてビットコイン取引量で世界一になったが、厳しい規制で中国、アメリカへと主権が移りかつてほどのプレゼンスはない。タクシーは既存産業保護が行き過ぎたことで、労働者減少の今、ウーバーすら使えず社会全体でそのコストを払っている(2024年4月より日本でもライドシェアが「一部」解禁)。儲かる産業が生まれれば国内企業ももっと活発になるはずだ。
イノベーションを阻害することは仕事の創出、海外からの投資敬遠、手取りアップの邪魔をしている。手取りを減らすのは国家の失策も少なからずあると思っている。
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