2つ目は報酬の二極化だ。稼げる仕事と稼げない仕事の差が非常に大きい。これは我が国に限らず、アメリカや中国はさらに格差は大きい。稼げる産業、稼げる企業に入れるかどうかが決定的であり、個人の自助努力ではどうしようもない硬直的なファクターである。だがまだ打てる手は残されている(後述する)。
3つ目は手取りの目減りだ。現在の日本は社保、インフレ、円安により、「見えない減給」が起きている。平均年収460万円、は「手取り」で考えると更に低い。特に厳しいのが社会保険であり、労働者だけでなく、雇用する企業側にも大きな負担を強いて経済界の重しになっている。
これらマクロ環境を俯瞰してわかることは、もちろん個人の自助努力は最大限必要という前提ではあるものの、自己責任「だけ」では片付けられないということだ。平均に到達していない人だけが悪いわけではない。
個人にできる給与アップの具体的戦略
給与が少ない理由が明らかになったが、個人レベルではまだまだできることは残されている。ここからはその戦略を具体的に取り上げたい。
1つ目はスキルアップである。「日本は給与が上がらない」と言われがちだが、「上昇圧力がかかりにくい」のは事実でも、「上がらない」わけではない。
筆者は会計分野の専門スキルアップをしながら転職を繰り返す過程で、200万円以上の収入アップを実現したし、親族のITエンジニアは初任給300万円台からスタートして、20代の内に1000万円を突破、現在は1500万円を稼いでいる。「稼ぎやすい業界、稼ぎやすいスキル」を身に着けて転職をすれば収入は上がるのだ。
時折、聞かれるのが「頑張っているのに上がらない!」という不満の声だ。だが、この意見の多くは「残業やサービス労働」といった時間の切り売りはしているが、付加価値の高いスキルアップを指していないケースもある。実際、日本はOECD加盟国、東南アジア諸国を含めて「最も余暇時間に勉強やスキルアップをしない国」である。