●この記事のポイント ・ウェザーニューズ、増収増益が続いており、25年5月期連結決算は最高益を更新する見込み ・長年蓄積してきた最適航路の選定支援サービスのデータという独自の資産を活用 ・世界中で常時約7,000隻の航海をサポート

 世界最大級の民間気象情報会社「株式会社ウェザーニューズ」。提供する天気予報アプリ「ウェザーニュース」は、4,700万ダウンロードを突破し、一般ユーザーからも高い認知を得ている。また、業種別に特化した気象コンテンツ「ウェザーニュース for business」も展開しており、工場の落雷対策や食品メーカーの配送ルート交通影響予測など、気象情報を活用してさまざまな業界の事業の判断をサポートしている。  同社の強みは、全世界30万の外航・内航船舶等の位置情報データと、長年蓄積してきた最適航路の選定支援サービスのデータという独自の資産を活用し、継続的に新しいサービスの開発に役立てている点だ。それにより増収増益が続いており、2025年5月期連結決算は最高益を更新する見込み。  3月には、この「ウェザーニュース for business」に内航船向けメニューが新たに追加された。これにより船舶のより安全な運航が実現できると期待され、業界から大きな注目を集めている。今回は、株式会社ウェザーニューズの海上気象マーケティング責任者の石井さんに、内航船向けメニュー追加の意図、好調な業績の背景、そして今後の成長戦略について話を聞いた。

●目次

海上の波・風の予測をリアルタイムで把握できる

——国内貨物の運搬等を行う内航船向けに、「ウェザーニュース for business」に海上気象のメニューが追加された背景やサービス内容を教えてください。

当社は「船乗りの命を守りたい」という想いを創業の原点とし、10年以上にわたり、ばら積み船やタンカー船による国内貨物の海上輸送を担う内航海運会社の航海・荷役業務を支援してきました。このたび、「ウェザーニュース for business」のプラットフォームが整備されたことを機に、アプリを通じた内航船向けの気象海象サービスの提供を開始することになりました。

本サービスは、国内貨物の海上運送の安全性向上を目的とし、海上や沿岸の波と風の予測データの精度を高めています。内航船の運航管理者や乗船中の船長は、船舶の位置情報および風・波を中心とした気象海象情報をリアルタイムで知ることが可能です。

港や航路のピンポイントの天気も見られるため、船舶が適切な気象条件下で航行できているかの確認や、荒天時の避難港の選定が容易になりました。また、船会社は気象情報をもとに到着時間の遅延を予測でき、荷主とのスケジュール調整をスムーズに行えるほか、配船計画の立案にも活用できます。

ウェザーニューズ、進化するビジネスモデル…全世界30万の船舶等のデータを活用の画像2
(画像=「ウェザーニュース for business」:マップ上で港や海上の地点を選択すると、その場所の詳細な気象予測を7日先まで確認できる)