今回の発見が教えてくれるのは「道具とは、記憶の化石」であるということです。
2万年前の人類は、海のほとりで巨獣の死を見つめ、骨を拾い、削り、暮らしに役立てていました。
現代のような船も網もない時代に、クジラの恵みは波によって運ばれ、打ち上げられ、偶然の産物として人のもとに届いていたのです。
その骨は道具となり、文化となり、そして今、私たちに「過去の記憶」について語りかけてくれています。
人類はずっと昔から、海とともに生きてきたのです。
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参考文献
Earliest Known Whale Bone Tools Discovered in Europe’s Museum Collections
https://www.sciencealert.com/earliest-known-whale-bone-tools-discovered-in-europes-museum-collections
Oldest whale bone tools discovered
https://www.eurekalert.org/news-releases/1085188
元論文
Late Paleolithic whale bone tools reveal human and whale ecology in the Bay of Biscay
https://doi.org/10.1038/s41467-025-59486-8
ライター
千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
編集者
ナゾロジー 編集部