DBの統合ポジショニングもだいぶ買戻しが進んだ。裁量勢のポジショニングは既に昨年のレンジまで戻っており、昨年の水準を超えるほどの新規ロングはさすがに建てに来ないだろうから、今後の買戻し圧力は素早く戻しそびれた機械勢に限定されるだろう。

GSプライムブローカーのHFネットレバレッジもDBの裁量勢と同様にローズガーデン前まで戻りつつある。

NAAIMは再びかなり楽観になってきた。これで上値追いの主体は機械勢だけということになり、ここに来て上値を追う蛮勇が報われづらくなることを示唆する。

トランプ政権の中国との貿易戦争休戦が2匹目のドジョウを狙うショート勢に残したトラウマはあまりにも大きかった。実際、その際に取り残されたショートが5650 -5786の窓近辺に残存していたであろうことも、先週の下落がこの窓を貫通できなかった背景と思われる。

中国との合意は、トランプ政権に楯突くのは「最悪元の場所に戻れるフリーオプション」であるとの印象を各国政府に植え付け、その後の通商交渉を茶番にしてしまった(ベッセントは善意で交渉しない国には関税再引上げもあり得ると警告せざるを得なかった)が、その上で、たとえ再引上げが起きたところで、どうせトランプ政権はすぐ妥協するだろうという見方を金融市場に植え付けた。

しかし前回の記事で「90日間の猶予期間中は楽観的に織込みすぎだと思ってもショートしてはならないのが鉄則であるが、それより少し早く一方的に答えを出す予定も取り沙汰されている。高値追いの賞味期限は長くてそこまでであり、少なくとも仮に関税レジームに戻って来た時、やはり下で売りたくなるようなポジショニングでは6月を迎えたくないものである」としていた通り、関税レジームへの回帰のインパクトを過小評価はしたくない。28日水曜引け後にはNVDA決算が控えている。

テクニカル。週足が上ヒゲ陰線となったため、5969は週足レジスタンスとなる。下値では中国合意窓の上限と200SMAが重なる5700台後半がサポート域になっている。このすぐ下にも水平に近い移動平均線が何本も横たわっているため、上値が重くなったとしてもやはり4月のようなすんなりとした急落にはならないだろう。