米国も参加したパラ23には「我々は,国連気候変動枠組条約第24回締約国会議(COP24)において実施のための共通の一連のガイドラインを採択することを期待する」との一文があり、米国が主語になっているパラ26には「温室効果ガス削減抑制目標(NDC)」が言及されているが、より脱・脱炭素化の度合いを含める現在のトランプ政権ではCOPやNDCへの言及は問題外だろう。

シャルルボワサミットにおける首脳レベル交渉の模様NHKより

シャルルボワサミットでは貿易に関する表現をめぐってトランプ大統領と欧州諸国が鋭く対立し、通常、シェルパが文言を詰める首脳声明が文字通り首脳レベルで交渉されることとなった。G7ではなくG6+1と揶揄されたのもこの時である。

今回、議長国カナダはG7間の亀裂よりも団結を演出することに腐心しているという。5月22日にカナダのバンフで開催されたG7財務省・中央銀行総裁会議の共同声明では中国やロシアへの対抗姿勢が目立つ半面、米国の保護主義への批判は回避されている。

エネルギー温暖化政策におけるトランプ2.0の立ち位置は1.0の時に比して更に温暖化に対する否定的態度が強い。6月のG7サミットにおいてもシャルルボワのようにパラグラフを分けて分断を明示するよりも、G7財務大臣・中央銀行総裁会議のように米国とG6が一致できる点をハイライトするのではないか。エネルギー安全保障、AIの普及による電力需要の急増、重要鉱物問題等であれば、一致できる可能性が高い。

温暖化問題をハイライトするようになってからG7サミット首脳声明のエネルギー関連部分は長々としたものとなった。一致できる点に注力すれば温暖化部分はごっそり抜けることになるから、昨年のブーリアサミットよりもずっと短いものになるだろう。